LCCの普及
昨今「持続可能な社会の発展」が求めています。新築のみならず既存ストックを含めた建築物の有効利用が望まれるなかで、建築物の長寿命化や省エネルギー化の適切な推進が求められ、建築物のライフサイクルコスト(以下LCC)はそのための重要な評価指標のひとつとなっています。
国を挙げてのインフラ長寿命化計画と地方公共団体版の公共施設等総合管理計画の策定や、企画設計費・建設費・運用管理費から廃棄処分費までの、建物の生涯に必要な費用が重要視されるようになりLCCが必要とされるようになりました。
公共施設等総合管理計画は2018年9月30日現在で都道府県及び政令都市では団体、市町村では99.7%の団体で計画が策定済となっています。
LCCの概要
LCCとはライフサイクルコストの略で直訳すると生涯費用です。建築物の各段階コストの総計に、想定される使用年数全体の経済性を検討するために用いると定義(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修 建物のライフサイクルコストという)されています。
LC(ライフサイクル)がつく言葉としてはLCR(リソース)、LCE(エネルギー)、LCL(レイバー)等がありますが、LCCはコストのみならず効果までも含んだ幅広い概念としてLCM(マネジメント)が提唱されています。
一般には、建物の建設費(イニシャルコスト)の低減のほうに関心が向かいますが、下記の表1からもイニシャルコストはLCCから考えると建物の生涯費用の一部にしか過ぎず、保全費など(ランニングコスト)が大部分を占めます。
ライフサイクルコストの低減を図るには、計画・設計段階から全費用を総合的に検討することが必要とされ、イニシャルコストのみならず、ランニングコストを含めた総合的な費用の把握し設計することを必要とします。